私の人生での一番すごいコーラは、
会社の先輩からもらったコーラです。
それは、年末。年の瀬も年の瀬のころにいただきました。
普段お茶やコーヒーばかりで、ジュースを飲んでいるイメージのない先輩でした。
もうそろそろ退勤時間になるかな、というころに
「ジュースあげようと思ってたんだ」
そう言って唐突にカバンからコカコーラを取り出して、
私に差し出しました。
突然の近所のおばあちゃんのような行動に
どうしたんですか と私がいうと
「こないだのクリスマス、
娘が サンタさんへ ってツリーの下に置いてったんだ。」
というのです。
「俺食事制限してて飲めないからさ、よかったら飲んで。」
というのです。
これはすごいコーラだ。
果たして私に飲めるでしょうか。
あったこともない女の子が、サンタさんへ贈ったコーラ。
飲めませんね。
尊すぎます。
尊すぎて受け取れませんが、尊すぎて拒否できません。
そんなすごいコーラ、私が飲んでいいんですか。
「いいのいいの、俺は飲めないんだから」
そんなやりとりをしつこく繰り返し、
尊すぎるコーラを、
なるべくべったり触らないように、指先だけで受け取りました。
普段パパは、コーラなんか飲まないのに、
サンタさんへ向けてコーラを送っているのが、また尊いですよね。
コーラをいただいた私。
尊すぎる、すごいコーラを受け取っちゃった私。
一万歩譲って、自分の知らないうちに、サンタさんへは届くはずだったコーラが大好きなパパの元へ届くのは良い。
百万歩譲って、自分の知らないうちに、サンタさんの元へ届くはずだったコーラが大好きなパパの職場へ来ちゃったのも良い。
だが、何億歩譲っても自分の知らないうちに、サンタさんの元へ届くはずだったコーラが、見ず知らずの人の散らかった社宅へ持ち帰られるのだけは、無い。
せめてもの礼儀(自分の気休め)として、職場の休憩室でいただきました。
私が飲んじゃってごめんね。
大人になったら、サンタさんへコーラを贈ったことも、
もしかしたら忘れちゃうかもしれないけれど。
確かにすごいコーラでした。
本当にありがとうございました…。
・・・
もちろん、
飲んだところで普通のコーラでしたが、
それから私はコーラをよく買うようになりました。
©️2020 happa spread